永続企業へ
日本には数多くの数百年続く企業があります。どうしたら,そんな企業になれるのでしょうか。
1 企業が抱える問題は何種類あるでしょうか。
答:一つです。それは「経営者」「あなた」です。経営者が一代で企業を上場させた松下幸之助や稲盛和夫になれば,ほとんどの問題は解決します。経営者が間違うから,企業が間違い,倒産します。
2 経営者が間違える理由はなんでしょう。
答:経営者が,自分の最後の姿を決めてないからです。Pドラッガーは,「私が13歳のとき,尊敬する先生が,何によって憶えられたいかねと聞いた。誰も答えられなかった。すると,『今答えられると思って聞いたわけではない。でも50歳になっても答えられなければ,人生を無駄に過ごしたことになるよ』といった」(ドラッカー名著集『非営利組織の経営』)。つまり,自分が亡くなった後に,何と言ってもらいたいか,自分の成りたい姿を決めてそれを必ず実現するという確信がないから,判断を間違うのです。
3 経営者の最後の姿と企業理念,現在の決断とどのような関係になるのですか。
答:上図のとおり,あなたの最後の姿を実現するために,どういう企業にしてゆくかが決まり,そういう企業にするため に,今,何をし,何をしないかが決まります。だから,最後の姿を決めてない企業経営は常にブレが生じています。残念ですが,決断が,思いつきになってしまう可能性が高いのです。
4 最後の姿といってもなかなか決めきれないのですが。どうしたらよいですか。
答:サラリーマンは将来を会社に委ねることもできます。しかし,経営者は会社を切り盛りしてゆかなければならず,残念ですが,ほとんどの経営者は,「明日はどうなるかわからない」と思い,今の自分を犠牲にして,明日のために生きています。真面目な人ほどそうです。そして,考えることは,「将来のためにどうすべきか」になり,今の自分をそのまま受け容れていません。結果,今の自分が見えてなくて,常に,「私はどうなるの」と思っていますので,将来の像など描けません。また,最終的には自分しか信じていませんので,他人の助けがいる大きな夢など持てません。よって,この明日の不安「明日はどうなるのかわからない」「私はどうなるの」「自分しか信じられない」と思っている思考を改め,明日の安心を得て,自分を受け容れて,皆に助けてもらうことを信じ,真に自分が成したいことを見つける必要があります。
5 明日の不安を消すためにはどうするのですか。
答:明日の不安はどこからくるのか知る必要があります。明日の不安は,死の不安から来ます。人間には肉体の意識がありますので,肉体が衰える老,肉体が傷つく病,肉体が無くなる死を恐れています。だから,文明を発達させ,衣食住を充実させて死を遠ざけていますが,死は免れません。ですから,明日の失敗=企業の倒産が生活苦に,そして死につながりますので,死の不安が明日の不安になるのです。
6 それでは死の不安を克服することができるのですか。
答:それは宗教の問題でもありますが,戦前の日本はそれを克服していました。だから永続企業がいたのです。戦前の日本は地縁,血縁の社会でした。死は病院で隔離されたものではなく,身近にあり,死んだら,先祖として,いざというときは,現世の我々を守ってくれていると信じていました。だから,彼岸,盆など祖先を大切にしていました。このように,戦前の日本では,死は身近でかつ荘厳で尊いものでした。そこで,今のような死への不安はありませんでした。また,地元の寺の檀家として法事に,神社の氏子とし祭事に参加し,田植え,稲刈りでは皆で協力し,困ったら助け合っていました。そこで,困ったときには,皆の助けがあると信じていました。この地縁,血縁が永続企業を支えました。しかし,これが,核家族化,競争社会で消えかけていることが,現在の日本の弱体化,不幸につながっています。
7 とすると死の不安の克服は地縁,血縁の再生ということになりますか。
答:そのとおりです。かつての地縁,血縁とはいきませんが,親,先祖に守られて今があること,だから親,先祖を大切にし,困ったときは先祖のご加護を祈ること,そうすれば必ず,助け,気付き,救済が来ます。奇跡が起こります。また,地縁とはいきませんが,当事務所では,顧問を頂いた皆様が弁護士法人ウィズを中心に,当事務所が信頼する他の専門弁護士(元検事,裁判官も含む)の力も借りて,事務所として付き合いのある数千社の企業にも力を貸してもらい,皆様の成功事例を共有し,失敗の克服方法に知恵を出し合い,また,新規サービスやコロナで落ち込んだ営業をできる範囲で皆で応援する共助システムを構築してゆきたいと思っております。これが下の図の意味で,新しい地縁です。勿論,秘密情報管理は厳守します。
8 何故,共助システムで死の不安を克服できると断言できるのですか。
答:それは,苦難は自分で越えられないから苦難なのです。共助システムを利用して多くの人の知恵を借り、そして、そのように皆に助けてもらおうと思っている人にはかならず気づきがやってくるのです。それが成功者が言う「運がよかった」です。そして、どんな苦難も超えることができようになるのです。苦難すら来なくなる、大難が中難に、中難が小難になるのです。
9 死の不安を克服すると,どうして最後の私がわかるのですか
答:明日の不安から開放されると,本当の自分が見えます。自分が何をしたいのか,何をしているときがもっとも自分らしいと感じられるかです。そして,我々はすべて一人では生きていけません。生まれてからずっと人,物,自然,天地人に助けられて今があります。だから,これらに恩返しをすることができる,自分らしいことが見つかれば,必ず天地人の助けがあり,実現します。それを最後の姿にするのです。
10 最後の姿がわかれば後は3のとおり実践するだけですね。
答:そのとおりです。最期の姿が決まり、そこまでの道に不安がなくなると、今何をすべきかがわかります。それに全力で取り組むのです。
実は、これが、禅の極意である、「今を生きる」なのです。明日に不安がると、残念ですが、今、目の前のことを疎かにして、過去や、将来を見てしまいます。そして、現状を確実に把握していれば「決して行ってはいけない決断」を、これまで成功してきたからとか、はやりだとか、世間体などといった根拠のない理由から行ってしまうのです。企業が衰退し、また、それを避けようとして行った新規事業の多くが失敗する理由がここにあるのです。今を生きていれば、今何を伸ばし、何を補強すべきかがわかります。それを一つずつ確実に行ってゆくことで事業は、企業は永久に続くのです。